手工製ギターとは

ギターには手工製ギターと量産品のギターがあります。では手工製ギターは量産品のギターとではどこがどう違うのでしょうか。 それは以下に説明する項目に違いがあり、それらを任意に選択、調整出来るということが大きく量産品と異なる点です。手工製ギターは、使用する材料を選定することが出来、かつその材料を最大限に活用して、一つ一つに固有の特徴があるのが量産品とは違う大きな理由です。

1.楽器の製作前に使用する材料を選定する

楽器に使われる材料はその音質に大きな影響を及ぼします。よく鳴るギターの材料は、製作前の段階でタッピング音が通常の材料とは明らかに異なります。またそうした材料を使用することで、製作直後からきちんと良い音で鳴ります。つまり美しく良い音で鳴るギターを入手するには、どのような材料を選定するかが重要なポイントとなります。

製造技術が木の本質を変えることは不可能です。「ストラディバリウスはナイチンゲールがとまって鳴く木しか使わなかった」とパガニーニが言ったそうですが、まさにその通りです。料理の素材が重要であるのと全く同様です。

2.材料に見合った適正な調整(チューニング)が施される

一つのギターに対して数枚の図面があり、どのギターもその図面通りに同じ材料、寸法で製作されるのが量産品のギターです。高価な量産品になるほど調整される部位が増え、装飾も増え費用がかかるようになります。

これに対し手工製ギターは図面通り作るのはもちろんのことですが、更に使用する材料に適した加工、調整をすべての部材に対して実施します。つまり使用する材料の持つ性能を最大限に活用し、そのポテンシャルを引き出すという作業を部位毎に精密に実施しています。

特に表板に関しては、ギターにとって非常に重要な部位であるため、念入りに調整が実施されます。表板の厚みは表板毎、かつ同じ表板でも部分ごとに異なり過不足なく調整されます。固有振動数の調整も材料の強度の許容範囲内にて可能です。

3.演奏者の演奏方法に合わせる

ギターは単体では音が鳴らず、人の手で演奏されることにより音楽を奏でます。音色は演奏方法により大きく左右され、これは材料選定と同様に音色に大きく影響するファクターです。つまり同じギターでも演奏する人が異なれば、違う音で鳴るというになります。演奏者の立場からすれば、演奏者独特の演奏方法があり、それに合わせたギターが必要になります。ダイナミクスの大きな演奏をしたい、爪が弱いから少しの力で大きな音が鳴るようにしたい、フィンガリングしやすいネックの形状、弦高等、いろいろなケースが考えられます。それらの希望に沿うものを作ります。

4.デザインが自由にできる

・いろいろなインレイを装飾することが出来る。

・ギターの顔であるロゼッタを唯一無二のものとすることが出来る。

5.希少なもの、一般的でないものが入手出来る

・古い時代の世に販売されていないもの或いは購入が一般に限りなく不可能に近いギターを入手する。例えば「ストラディバリウスのサビオナリ」のレプリカが欲しいなど。

・通常の木工ボンドではなく、膠で接着し組立てられた楽器が欲しい場合。

・量産品ではない組立て方、材料の構成にしたい。例えばマホガニーネックのトラスロッドなしストラトキャスターが欲しい、他にはスルーネックのストラトキャスターなど。

・珍しい木材で製作する。シンカーウッド、地場産の木材、ユーザー持ち込みの材料を使うなど。

Guitarra de la Floritaでは、以下のことが可能です。

・ユーザーが実際に材料を見て、聴いて選定することが出来ます。

・主要部材について20年以上シーズニングされた材料を使用します。曲がり、変形を防止するのが最大の目的です。また水分含有量がかなり低減された状態になっているので、十分に乾燥しており材料が本来持つ響きを得やすい状態になっています。

・周波数スペクトラムアナライザを用いて表板の固有振動数をデータ化して、板厚やブレーシング材の形状の調節を実施します。

・装飾について可能な限りユーザーの要望に沿うようにします。オリジナルのロゼッタを作製するなど。ロゼッタはモザイクを並べて作る方法を得意としています。

 

クラシックギター

主要諸元
ネック : ホンジュラスマホガニー
弦長  : 650mm
表板  : ジャーマンスプルース
横、裏板: マダガスカルローズウッド
指板  : エボニー
ブリッジ: ブラジリアンローズウッド

アントニオトーレス、ホセルイスロマニージョスの系譜を踏襲したモデルです。
1850年から現代までのスペインのクラシックギターの典型とも言えるものです。このモデルをベースとしてテスト等を実施しながら改善、発展させています。

フラメンコギター

主要諸元
ネック : ホンジュラスセドロ
弦長  : 650mm
表板  : ジャーマンスプルース
横、裏板: シープレス、インディアンローズウッド
指板  : エボニー
ブリッジ: ブラジリアンローズウッド

サントスエルナンデスのフラメンコギターをベースに、手を加え、発展させています。
フラメンコブランカと呼ばれるギターで、酒場で歌って、踊って、パルマ(手拍子)と共に演奏されます。チューニングのペグはバイオリン用で、弦振動を長く保持すること、ヘッドストックまで共鳴させるために流用しています。

パーラーギター

パーラーギターというのは、アコースティクギターの一種で、普通のアコースティックギターより少しサイズが小さいです。その名の通り少人数の集まりの時に弾いて楽しむものです。小さめのサイズは女性が持っても大き過ぎず格好良いです、また嵩を取らないので邪魔にもなりにくいです。またサイズは小さいからといって音がそんなに小さくありません。

このギターの特徴は以下の通りです。

1.【材質】表板:ジャーマンスプルース(ヘルマンハウザーの工房にあったもの)、ネック:ホンジュラスマホガニー、裏板:インディアンローズウッド、指板及びブリッジ:エボニー。すべての材料は40年以上エージングしたものです。

2.【設計】表板のブレーシング、ハーモニックバーの構成はギターラデラフロリータのオリジナルです。マーチン、ギブソン、テーラー、ヤマハなどの有名なメーカーのものとは全く構成が異なります。

3.【形状・演奏性】ボディの高音側上部と低音側下部に15ミリのコンターを取り付けています。演奏性が大きく向上します。見かけは小さいですが、十分に設置した効果があります。実際に体験してみるとよくわかると思います。また大きなカッタウェイを設置することでボディ内容積を減少させ、音質に影響を与えることがないのでお勧めです。

4.【デザイン】ロゼッタにアバロン貝のインレイを取り付けています。幅が約1センチあります。通常細いものはよく見かけますがこのサイズのロゼッタは少ないです。裏板のバインディングにもアバロン貝のインレイを取り付けています。幅が約5ミリあります。この部分も通常より太いものです。希少性が高いです。

5.【塗装】セラックニスのフレンチポリッシュを実施しています。スペインやイタリア製のギターのこの塗装で見受けられる高品位な膜厚と光沢になるように仕上げています。スプレー、エアーブラシ、筆、刷毛、そしてパミスパウダーなどの研磨粉を使用していません。シェラックニス、綿布、綿花、エチルアルコールのみで仕上げています。

6.【構造】見かけは小さく、優美で華奢ですが、ボディとネックは堅牢で強靭です。裏板は4枚のインディアンローズを1枚に接ぎ合わせをしています。ボディーとネックの接合はスペイン式でV溝に楔を挿入しています。そのため蟻ほぞで見られるネックの元起きはありません。また横板の厚み調整、補強、設置方法にもギターラデラフロリータ独自の工夫をしています。

7.【デザイン】ネックとヘッドストックをV接続にしてボリュートをつけています。これは見栄えを良くすることと希少性を高めるためにしています。

※ 英語ページに別の写真も掲載していますので、ご覧下さい。

ストラトタイプギター

主要諸元
ネック   : メイプル
弦長    : 648mm
ボディ   : スワンプアッシュ
指板    : インディアンローズ
ピックアップ: オリジナル手巻き
ブリッジ  : シンクロナイズドトレモロ

クラシックギターと同精度で製作されています。ボディの中央接続部と指板の接着は動物性膠で実施しています。ピックアップはGuitarra de la Floritaの自家製でコイル巻き数調整によりインピーダンス変更が可能です。指板は30年ほどシーズニングされたインディアンローズを使用しています。塗装は、ボディにニトロセルロースをネックにシェラックのフレンチポリッシュを採用しています。いろいろな変更、改造などが可能です。

ウクレレ

主要諸元
ネック : マホガニー
弦長  : 385mm
ボデ  : ハワイアンマンゴー、
      ジャーマンスプルース等
指板  : インディアンローズ、エボニー等
ブリッジ: ハカランダ、エボニー等

コンサートタイプのウクレレを製作しています。
主な形状としてはフラメンコギターをベースに小さくして、ウクレレとしています。

ウクレレとはいえ製品の品質はクラシックギターと同程度のものです。
ウクレレと言えば、「海」「南の島」などをイメージする方が多いと思います。

私のウクレレは、まさにそのイメージ通りのものを考慮しています。
また音等については明るく、透明感があり、ともに歌いたくなるものを心がけています。