ここでは私のギターに対する考え方について書いています。また製作のつど新しい製作方法、実験、検証を実施しておりますので、その結果より常に考え方は変化していきます。なるべく最新の情報となるように更新します。
私はクラシック、フラメンコギターを主に製作しています。
他にはパーラーギターも製作します。
製作される楽器はすべてハンドメイドで、木材の選定、加工、装飾、組立、塗装、調整のすべてをわたしのところで実施します。ほとんどのパーツは、手工具や簡単な電動工具により加工、組立、装飾が行われます。パソコン等を使用したNC旋盤などの機器による自動化は行っておりません。
ギターで重要なことは音質(音色)にあると考えています。音量は適度にあれば十分と考えますので、ダブルトップ、ダブルサイドなどの製造方法は採用していません。過度の音量を求めることは、音質の低下を招くと思います。従来のスペイン式でのみ製作を行っており、それで十分楽器として成立し、楽しめるものであると考えます。
材料についてはよく観察、聴音してその材料に適した加工、組立、仕上り寸法を判断します。材料も音質(音色)を決める重要な項目であると考えます。そしてなるべく乾燥した曲がり、狂いの少ないものを採用します。楽器がいつでも安心して使用でき、性能が発揮できるのもギターに求められる条件の一つだと思います。
これまで先人がいろいろ試行錯誤されてきた延長線上に良い音質が存在すると考えており、そこに少しずつ手を加えていく方法で音質の改善を実施しています。図面、細かな寸法、木工精度は音の表面的な部分にしか影響しません。音の本質はそのようなところになく、どのような音造りをするかという製作者の考え方や、感性、人柄に影響するところが大きいと考えています。
ギターに求められる事柄として音質が良いこと、壊れにくいことは勿論ですが、わたしは装飾についても重要視しています。ギターは楽器であると同時に工芸品であるとも言えます。ぱっと見ただけですぐにその優美なデザインが人目を惹き、美しいものを所有しているという満足感を得ることが出来るようにします。美しいギターを作ることは好きです。
音色の追求、品質の向上を重要視して製作しているため、年間の製作本数は4本程度です。良いギターを作るということしか考えていません。
インスタグラム@guitarra_de_la_florita
製作者紹介
氏名 :中並雅文(なかなみまさふみ)
生年月日:1965年11月27日
経歴は、外航船の機関士として仕事を始めましたが、会社員に転身して機械系のエンジニアになりました。ギター製作は2018年から始め、2022年より奈良県御所市の丸山利仁先生に師事しています。主に、クラシック、フラメンコギターを製作しています。
Guitarra de la Floritaのギターの特徴
1.材料の選定
使用する材料を製作前に木目を見たり、タップ音を聴いて、どのような仕上がり、音質の傾向になるかを決めます。基本的に15~20年以上シーズニングされた乾燥した木材を使用します。
2.V溝接続
ネックとボディを接続するにあたり、横板を差し込むためにネック端部に溝をV型に大きく切り込み、横板の固定に楔を打ち込み、ネックとボディを接続します。非常に堅牢な接続方法で、ネックとボディの振動の循環に有効な助けになります。
3.シェラックによるフレンチポリッシュ
ラックカイガラムシの分泌した物質をエチルアルコールで溶解して塗布する方法です。紀元前2000年ごろに中国では既にあったそうです。フレンチポリッシュとは綿の布で作ったてるてる坊主でシェラックを塗る方法です。非常に薄く塗ることが出来るので楽器の振動を妨げる影響が少ないです。
4.Vネックジョイント
1700年頃のギターに既にこの接続方法が見受けられます。この接続方法が特に音質に大きな影響を与えるわけではありませんが、非常に美しく優美なディテールです。
5.装飾関係
ロゼッタはギターの顔です。美しく綺麗なものとなるように心がけています。現在4種類あります。
6.ストラトタイプ
ピックアップを自作します。インピーダンスを指定の値に設定することが可能です。ネック、ミドルは低めに、ブリッジ側は高めに設定することを推奨しています。指板は20年以上シーズニングされたものを採用しています。ボディ中央部、指板を動物性の膠で接着しています。塗装はニトロセルロースで実施します。