白柿を紹介します。
これは切削工具ではありません。罫書きの際に使用する作図道具です。木目に沿って使用するものを「罫引き」、木目に逆らって使用するものを「白柿」と言います。
この白柿の刃先はかなり細いです。一般的に定規の目盛り幅が0.1~0.2mmあり、それより細い線が引くことが可能です。
つまり、高い精度を要求される罫書きに使用することが出来ます。ギター製作では、指板上のフレット溝の罫書きに使用します。シャープペンシルの0.5mm芯を使用して罫書いた場合、描かれた線が太過ぎて、いざ鋸を当てた時にどこを切って良いものか判断が出来ません。
例えば、76.3mmのところに罫書き線を入れたい時にシャープペンシルの0.5mm芯ではまず正確に描くことは不可能です。0.5mm幅の線では、0.3mmのところがわかりません。
でも白柿ならば線の太さが0.1mm以下なので、明確に罫書き線を描くことが可能で、鋸をどこに当てれば良いのかすぐに決めることが出来ます。いつも私は白柿で描いた線の垂直側がちょうど鋸の歯の中央になるようにしています。(白柿で描いた線はV字型の溝になり、一方は垂直、もう一方は斜めになっています。)
写真のように白柿の先端がいつも尖るように鋭く研げれば良い極細線が引くことが可能で、とても気持ちが良いです。
一つ問題点があるとすれば、みつけ面(楽器や家具の人目につく表面)には罫書いたあとが残りますので使用出来ません。
この白柿はたまにしか使わないのであればカッターナイフでも代用が可能です。ただし、ローズウッドやエボニーの指板は硬いので気をつけてください。 2023.08.10