今回は、鉋(かんな)の話です。
鉋は木製の台に刃が組みつけられており、木材の表面を切削加工するものです。鉋は台で切ると言われ、刃はもとよりその台が重要で、木製の台が正しく調整されたところに刃を設置して初めて用をなします。
人間国宝が作製したものでも、ホームセンターで販売されているものでも必ず台を調整しないと鉋はその性能を十分に発揮しません。
そこで登場するのが「台直しかんな」です。これは刃が台に対して垂直に取り付けられており、平面を出すために用いられる鉋です。鉋のための鉋です。これを使って正しく鉋台を削って調整します。少し刃が傾いて設置されており切削時の抵抗を軽減しています。ギター製作においては指板の平面調整にも使えます。
次に長台鉋です。これは長い平面を加工するためにその名の通り台が長い鉋です。ギター製作においては、表板、裏板中央の接ぎ面(はぎめん)を合わせるのに使用します。台の長さが約40センチあります。台の右側が少し広く作られています。これは特注で摺り台で擦った時に減りますので、再調整時に備えて厚くしてあります。刃の仕込角も私の希望する角度で仕上げて頂いています。
3番目に寸6(すんろく)です。よく日曜大工でも見かける通常サイズの鉋です。これは私が中学校の技術家庭で使用していたものです。母が物置にしまってくれてあったのを取り出し使っています。43年前のものです。きちんと整備してありますので十分役に立っています。
4番目に寸8(すんはち)です。少し刃幅が広いです。大きな平面や摺り台で高さを合わせる時に使いやすいです。
5番目に小型鉋です。これは主にロゼッタやインレイの作製、ヘッドストックの加工、ペオネスの作製に使用します。台長さが140〜200ミリです。普通にホームセンターで販売されているものです。私が作製したロゼッタやインレイをご覧頂ければどれくらいこの鉋が切れるかご理解頂けると思います。
6番目に豆鉋、反り鉋です。表板に取り付けるブレーシング、ハーモニックバーの加工、インレイ、ロゼッタの整形、ソレラの作製などに使用します。どれも必要なもので、趣味で収集しているわけではありません。豆鉋はおもちゃみたいですが、その実用性は非常に高く、よく切れます。これらがなければ私のギターの音は成立しません。それくらい重要です。
鉋についても日本製のものは非常に優れています。また台を必要の都度修正し、刃を研げば長く使用が可能です。 2023.08.02