クラシックギターを製作するための型枠について説明します。
別にギターの作り方は人それぞれなので、これでないといけないということはありません。以下は私の製作方法でこのような感じでやっていますよ、というだけのことです。
この型枠は横板をサイドベンディングマシンで曲げた後に、この中に嵌めてギターの外形の出来上がり形状に完全に合致するようにするためにあります。サイドベンディングマシンと雖も特別に優れた工作機械でなく、完全にうまく曲がって型枠に合致するものでなく、ほとんどの場合は合っていません。
この横板を曲げて綺麗に形を整えるというのがギター作りにおいて極めて難しく、なかなか必要とされるレベルに到達するのに時間がかかる作業です。何度実施しても思ったようにはなりません。
この外形の曲がり具合というのはとても需要で、パッと見た目において美しいカーブで左右対称であり、表板に対して完璧に直角になっているのギターというのは良いギターの最低条件と思います。音作り以前に形が歪んでいるというのは具合がよくありません。
さてなぜかの型枠作りに何日もかけてこだわっているのでしょうか。それは横板がうまく出来ていないと非常に困ったことになるからです。製作の重要な工程がここにあるからです。
以下に困ったことを列挙します。
1.ギターの中心線がどこにあるのかよく分からない。
左右対称でなければヘッドストックの先端からボディのボトムまでのギターの中心がどこにあるのかわからないものになってしまう。
2.表板に対して横板が垂直でない。
見た目がとても良くないです。
3.ネックがまっすぐに取り付けられない。
ボディの上部が曲がってしまうとネックのボディ取り付け部も曲がってしまう。
4.横板がまっすぐでないと後のすべての工程に悪影響を来す。
①バインディングを取り付ける時に溝が場所によって形状の違うおかしなものになる。意味することろはギターの外形が歪んでしまう。
②裏板の取り付ける基準がわからなくなる。これも裏板が歪んで取り付けられギターの形がいびつになる。
③ボトムブロックの接着面が定まらず滑ってセンターに取り付けられない。
いろいろとよくないことが次から次へと発生しいちいちそれに対応していると、そのうち大きな失敗につながるので、一番初めに横板をきちんと決められた位置でボディ形状に仕上げ次の工程に進めるためにこの部分に時間をかけている、ということです。
他の部分は何かあっても個別に対応ができ、後からなんとかなるので別に気にもしませんので、治具も適当に数時間程度で仕上げています。
新しい型枠がほぼ出来上がり、これは今までの有名なギターのいいとこ取りでもなく、コピーでもありません。私自身がこれが良いと思う形状であり、音が出るであろうという考えに基づいたオリジナルなので非常に出来上がりが楽しみです。
ギター作りというのは自由そうに見えて、意外とそんなに自由に何か新しいものができるものでもないと思うようになりました。ボディの形状、ヘッドストックの先端形状、ロゼッタの模様、既に偉大な先人が研究し尽くしている感があります。一所懸命検討するほどそういったことが見えてきます。
とにかく一つ目のオリジナルギターを製作して、どのような外観になり、音がするのか楽しみです。 2024.10.13