ヒールの整形について説明します。
私はこの部分を切り出し小刀で切削加工をします。ヤスリで削る、スクレーパでこそげていくなどいろいろ方法があります。別にどのような方法でもOK。誰が何をしても目的を達成すれば良いのがギター製作の良いところ。
なぜ切り出し小刀で切削しているのかと言うと、特に意味はありません。これが一番自分にとってやりやすいからです。塗装用に仕上げのペーパーをかけるまで切削加工します。右用と左用の二つを持っています。場所によって持ち替えます。
この部分に限らずギターの美しさが映える曲線部分を自動でプログラムで切削加工するのはつまらないと思うのは私だけでしょうか。機械にさせれば10本一度にまとめて並べて10分ほどであっという間に一丁上がりとなるのでしょう。でもそうじゃないのが手工製ギターのいいところ。なんだか人間らしさがありますよね。
気づいた方もいらっしゃると思いますが、刃が全体に均一に砥げていません。これだけ平面が大きい刃は上手に平面を作ることが難しいです。とにかくギターを作るのに忙しいので刃物を砥ぐ時間がほとんどありません。
忙しさにかまけてついついもうこれでいいやと適当に途中でやめてしまうので、この有様です。かといって暇になる時はありません。
中学生の頃、不良はナイフで鉛筆を削るというのが定番でした。勉強をすることの価値を理解できないので、授業中に先生の話を聞かずに、鉛筆を意味なくひたすら削ったり、トテームポールの製作などをしていました。
勉強をしないことが大人になってからどれだけ多くの損失を伴うのか、想像力に乏しいためちっともわからないまま、大人になり、やはり後悔するという普通の大人になってしまった。
しかしこの鉛筆削りが40数年後に、ギターの製作でヒール削りに大いに役立つとは思ってもみないことでした。
このブログをもし若い人が読むことがあればお伝えしたいです。ギターは大人になってからでも作ることはできる。しかし若いうちはギターより勉強の方が大切です。それに勉強が出来る方が良いギターを作ることが出来ます。 2024.04.21