ヘッドストックとネックの接続部分について気にされていますか?あまり見えないところだから別に気にかけていませんか?
この部分の接続方法には、V接続の他にはスカーフジョイント、何もせず一本の木材を斜めに切断するという方法があります。何もせず一本の木材を斜めに切断したものは音の伝達は良いですが、強度がありません。大量生産向きです。スカーフジョイントは斜めに切断した木材の一方をひっくり返して勾配をつけて接続する方法で強度、音の伝達の両方でバランスが良いです。V接続は、一本で斜めに切断するより強度はありますが、音の伝達については上手くつながれば問題ありませんが、上手くできないと良くないことばかりです。
このV接続については歴史が古く18、19世紀のギターはほとんどこの接続方法です。またヘルマンハウザー、ホセルイスロマニージョスの両氏が採用していたことで有名です。私はこの偉大な先人に習いこの方法を採用しています。とても見栄えが良いです。
マーチンの古いギターもこれを採用しており、Vネック接続にボリュート加工がなされていました。現在は一本の木材を斜めに切断し、ボリュート加工のみなされています。このボリュートを残したのはこの部分の強度確保もあると思いますが、やはりかっこいいからではないかと推測します。
これは結構面倒な接続方法ですが、私の製作するクラシック、フラメンコ、パーラーギターはこのV接続を基本的に採用を継続します。CADで図面を作成し、NC旋盤を使えば五本以上まとめてネックが簡単に完成する時代になぜこんな面倒なことをしているのには理由があります。それはまた別の機会に説明します。 2023.06.20