今日はペオネスのお話しをします。
これは表板と横板を接続するための部品です。私の場合は、表板の周囲を140から150個使っています。製作家によって数量、サイズは異なります。もっと違う方法の方もいらっしゃいます。
弦楽器は隅っこ(角)が大切です。この部分の締まりが悪いと音の輪郭がぼやけます。意図的に柔らかい音にする場合もあるのかもしれませんが、一般的に音は明瞭で輪郭がはっきりしている方が良いと思います。
このペオネスがきちんと取り付けられているか否かが良い音造りの要因の一つになると私は考えています。バインディング、パーフリングの取り付けにより元の表板と横板との設置面積が小さくなることからもいい加減にできるものではないと思います。
そこでこのペオネスですが、初めは一本の角棒です。この時点では平面がしっかり出ていて、底面と背面がしっかり直角になっています。
しかし8ミリ幅に切断し、乾燥のために2〜3日放置しておくと写真のように凹凸が発生し、底面と背面は直角でなくなります。
これでは容易に表板と横板の接着に使用できません。もしこのまま何も気にせず取り付けたらどうなるのでしょうか。大したものにならないのはご想像のとおりです。
そこで私は、表板、横板に完全に密着するようにヤスリで一個一個完璧に磨きます。2〜3回合わせを実施して密着することが確認出来たら膠で接着します。これを140〜150個全部します。
面倒臭い作業ですが、少しでも音を良くするための努力は惜しまないようにしています。またこのような面倒臭いことを他の作業でも実施しているので、私のギター製作にかかる時間はかなり長くなります。
音に関する品質を優先しているため、年あたりの生産台数は4本くらいです。そのような状況です。 2024.05.02