罫書き(墨付け)

工業系の仕事をされない方にあまり縁のない「罫書き」、「墨付け」という言葉を説明します。

 

これは実際に加工する材料に対し、加工するために必要な線を部材の上に直接書き込む作業を言います。とても重要な技能を要する作業です。ところが現在の工業系の仕事は、分業制です。設計、作図、加工、組立、品質確認作業は、一人で全部するわけではなく、それぞれ別の人が実施しているのが現状です。一人ですれば立案、計画者の頭の中にあるものが、きちんと形に仕上がるのですが・・・

 

したがってこの罫書き(墨付け)は、現在、加工、組立作業をする人が実施する作業になっています。いくら図面上で計算し尽くされ、全く狂いのない精度の高い図面を書き、あらゆる規格、お客様の仕様を反映しても、罫書き(墨付け)がよくなければ、出来上がったものはとても残念なものになります。

 

いわば絵に描いた餅を、具現化するために本当に大切な作業であるわけです。この罫書き(墨付け)が正確になされていれば、それに合わせて職人さんが、切削、穴あけ、溶接、組み立てなどを実施します。設計者と現場の職人の間に存在するインターフェイスというわけです。

 

実際の加工、組み立て作業は、条件のよくない環境で本当に作業を正確に間違えずに実施せねばなりません。しかし、設計職に比べて給料が低い設定になっています。要求される熟練度や加工精度などあまり関係なくどんな業種も同じ傾向にあります。これでは日本の工業界が衰退しても当たり前かなという気がします。

 

さて、この罫書きは難易度が高く、これがうまくできないとギターの製作など出来ません。ヘッドストックの表面に書いた図を、その裏面に同寸法で転写する作業がありますが、なかなか思うようにできず、時間がかかります。

 

数時間かけて描き、一度に続けて切削作業をせずに描き終わるとそのまましばらく放っておきます。何時間後か或いは次の日にもう一度描いた罫書きを見直します。それからやっとバンドソーや手鋸などで切削加工します。

 

緊張感があり、正確さが要求される楽しい作業です。何度しても手抜き、ごまかしがききません。そういう意味ではギター製作は楽しいです。   2023.07.16

 

 

 

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