No computers used

私がなぜパソコンをあまり使わないのかをお話します。

 

一つ目は今まで仕事で一日中パソコンに向かい長時間使っていた時期がありもう見たくないということです。二つ目は、今はパソコンが誰もが個別に安価に入手出来ますが、今後半導体価格が上昇して高価になり一般人が入手出来なくなる世の中が到来するかもしれないのでそれに備えていること、三つ目はパソコンを使用しなくても技術的に優れたものは製作が可能であるということです。

 

パソコンやコンピュータを使わない良い例をお話します。1978年にDon’t look backというボストンのセカンドアルバムの中にこのNo computers usedというクレジットが入っています。

 

このバンドのリーダーであるトムショルツという方がボーカルとコーラス以外のパートは一人で演奏して多重録音している。作詞、作曲、編曲も出来てとんでもなく凄い人らしい。詳しいことはよくわからないけれどギターの音が今から40年以上前のものとはとても信じられないことでした。驚くと同時に学ばねばならないことが山ほどあると思い知りました。

 

その中でも特に光っていたのがこのNo computers usedのクレジットでした。この素晴らしい音楽はコンピュータなしで出来ているのだというのはとても驚きました。アナログの機器だけでここまで優れたものが出来るのだとただただ感心しました。今でもボストンは好きでよく聴きます。

 

パソコンや現在のテクノロジーに話を戻します。石が沢山あるにかかわらず石器時代は終わりました。石油はまだ残っているのに石油時代は終わろうとしています。なぜその方向に進むのかは私にはわかりません。カーボンニュートラルの時代が来るのか来ないのかは誰にもわかりません。

 

ただ言えるのは私たちが現在立っている足元は非常に小さな踊り場のようになっており、しかも今まで存在していたはずの巨大なその土台は実はもうないに等しい状況だと言うことです。イギリスは産業革命で産み出した機器を作る技術をもう既にほとんどなくしています。日本もなくなりつつあり同様です。

 

次のカーボンニュートラルを支えるのは現在既にある技術であり、それを否定して、土台を捨て去り、次に進めるのであればその新技術は恐ろしく高価で誰の手にもいき渡らないだろうと思われます。

 

今のように誰もがエネルギー、パソコンなどのインフラや技術が簡単に手に入るありがたい時代は継続が難しいのではないかというのが、わたしの予測です。もう少し過去の良き先例は残し、そうならないことを望むばかりです。

 

私は通常パソコンを使用しないと言っていますが、例外として表板の周波数分布の解析のみパソコンを使用しています。手計算ですると精度が低く、時間がかかり過ぎて仕事になりませんので、この作業だけは使うことにしています。

 

パソコンを使用してCAD図面を描き、そのデータをCNCルータに入力すれば、ネックなどあっという間に精度の高いものが5本以上同時に出来上がりますが、それは私が欲しいものではありません。木は丁寧に手工具で時間をかけて、加工、整形、仕上げした方が、自動化した機器で仕上げるよりも明らかに音は良いです。これは経験値であり、なんの証明も出来ませんが、例えばドラムサンダーで厚みを調整したものよりも、カンナで削った方が間違いなく良い音がします。

 

以上の理由からパソコンをあまり使用していません。また自動化機器も使用する気はありません。せめてギターくらいはアナログで誰もが簡単に手に取ることが出来て、音楽を気軽に楽しめる世の中が長く続いて欲しいと思います。   2023.06.25

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